「身の丈に合った暮らしをしなさい」
結婚した当時、父から言われた言葉です。
身の丈に合った暮らしというのは、何よりも大切なことだと思っていました。
しかし最近、それ以上に大切なことがあるのだと思うようになりました。
【ある日突然収入がゼロになったら】
夫が立ち上げた会社の経営がとても順調で、収入は右肩上がりに増え年収は数千万円となりました。
億単位の家を購入し、セレブな暮らし方をしていた彼女。
セレブなママ友とのお付き合いで、ランチとお茶で1万円を使うことが当たり前のような感覚になることに時間はかかりません。
ブランドのバックに洋服、時計などなど。
彼女は、もともとブランドものに興味はなくても、周りのママ友に合わせて、そういったものを買っていきました。
毎日の晩ごはんも、デパ地下のお惣菜や外食がほとんどで、食費は月に20万円を超えるのがふつう。
とてつもなく広い家の光熱費や管理費だけで、月に10万円~20万円。
そんな暮らし方をしていても、なんら困ることはありません。
だって年収数千万円。
月収にしたら300万円?とか。
しかし、10数年続いた暮らしが、ある日を境に収入が途絶えました。
夫の会社が倒産してしまったからです。
こんな状況になったらどうしましょう。
しばらくは、貯蓄で生活できるかもしれない。
けれども、入ってくるお金がなければ、貯蓄は必ず底をつきます。
さて、あなたならどうしますか?
結論はわかっています。
まずは、収入がないのに億単位の家の管理維持費だけでも月10数万円かかるのだから、とっとと家を出て分相応なところに住むこと。
お金がないからと言って、食費を切り詰めたり、それまでのママ友の誘いをすべて断ったとしても、ブランドの洋服などは買わないようにしたとしても、そこに住んでいるだけで10数万円の維持費が発生する家には、住めるわけがありません。
もう暮らしはとっくに破綻しているのですから。
でもね、哀しいかな。
人間というのは、見栄もプライドもある生き物なんです。
一度贅沢な暮らしにつかってしまうと、生活のレベルを下げることは簡単にはできない。
自分の頭の中ではわかっていても、近所の目が気になって、引っ越すこともできない。
ギリギリのところまでそこで踏ん張って、結局は最後の最後でどうしようもできなくなって、夜逃げ同然に家を出ることになるのです。
【身の丈に合った暮らし】
身の丈に合った暮らしとは、自分の収入範囲内で生活することだと思っていました。
欲しいものでもローンを組むことはせず、お金が貯まってから買う。
それが身の丈に合った暮らし方。
しかし、彼女のように月収300万円だったらどうでしょう。
食費に月に20万円だなんて、私にすれば空が裂けてもできないこと。
しかし月収300万円の食費20万円ならば、収入のわずか6%。
身の丈に合っていると言えばそうなのかもしれません。
しかし、いざ収入が途絶えたらどうなんでしょう。
彼女の暮らし方を聞いて、身の丈に合った暮らしというのは、必ずしも収入と比例して支出を増やすことなのではないのだなぁと思いました。
【老後のための暮らし方】
イチロー選手の奥さんが、100億円を動かす財テクをやっているという話を聞いたことがあります。
イチロー選手の収入をもとに、不動産投資や経営などを展開する実業家になっているそうですね。
プロ野球の選手生命は、一般人よりも短い。
イチロー選手クラスになれば、選手を引退したとしてもその後引く手あまたでしょうけど。
それにしても、イチロー選手のすばらしいところは、賢い奥さんを見極める先見の明があったというところでしょうね。
収入のすべてを支出として散財するのではなく、有り余るお金に働いてもらうという投資をしている。
老後を見据えてのことなんでしょう。
もし、イチロー選手が怪我をして再起不能になったら・・・・?万が一亡くなってしまったら・・・・?
あらゆることを想定しての奥さんの行動はすばらしい。
身の丈に合った暮らし方だけではない、その先の暮らし方を見据えたお金の使い方。
現在だけの収支のやりくりではない、将来への備え。
私も、子育てがひと段落したら
「やったー!教育費貧乏が終わったー!これからは自分のために使うぞー!」
ではなく、老後の生活設計をきちんと考えていかなければならないのだと、強く思いました。
そして、今からできる微々たる老後の蓄えも、少しずつやっていくべきなんだということも。
ちなみに彼女というのは、知り合いが知り合いから聞いたお話なので、私は直接知らない方です。
しかし、彼女から学ぶべきことはたくさんありました。
彼女は今、窮地に陥っているかもしれませんが、そんな彼女に感謝です。